最近多い培養液コスメの質問にお答えします。
2014年、化粧品原料国際命名法(INCI)で培養液が登録され、2年ほどは手探り状態で商品化は進んでませんでしたが、去年の暮れ辺りから徐々に製品化され始め、ここ最近ではかなりのメーカーが培養液関連コスメの製造に乗り出し、数多くの商品が出てきております。
弊社はすでに3年半前よりこの培養液関連の商品を取り扱ってきた経緯から、多くのサロン様に培養液関連コスメの商材について多くの質問を受けるようになりました。
そこで、培養液コスメを取り扱うに至り、注意しないといけない事をまとめたいと思います。
先ず、培養液コスメは何がいいのか??ですよね
培養液は、再生医療等で使用する幹細胞を培地で培養の際に幹細胞が出すたんぱく物質がとても重要だと思います。
この発現するたんぱく質は成長因子や増殖因子といった細胞を賦活活性化させる成分なのです。
この因子のことを「GF=グロスファクター」と呼び、培養液の中には200種類のGFが発現しているともいわれています。(注:多分化幹細胞の培養時)
このGFは細胞ごとに種類があり、よく聞くところではEGFやFGF、IGF、HGFなどがあります。
このGFが各組織の幹細胞のレセプターと反応し、増殖したりするのです。
ですので、今までのコスメと違って、自分が持っている内在する幹細胞が娘細胞を生み出すというわけです。
“皮膚であれば新しい皮膚細胞を幹細胞がどんどん生み出してくれますので、瑞々しい新しい皮膚細胞になり、皮膚は美しくなるのです。”
しかし、ここで押さえておかねばならないことがあります。
外からこのGFを皮膚内部に入れ込むという事は簡単な事ではありません。
皮膚には幾つかのバリア機能があり、水分保持や細菌などから体を守る役目があるので、そうやすやすとは通過させてくれません。
先ず、表皮の角層表面には皮脂膜が存在します。次に角層、そして表皮最後の砦基底膜です。
この中でも角層は強固な守りをしているのです。この角層を通り抜けなければどんなに優れたGFでさえ何の意味も有りません。
ここで、数字によってその辺りを具体的に見ていきましょう。
この角層の通過させるにはいくつかの条件があります。
分子量が小さいこと(目安として500以下) 適度な脂溶性を持っていること 融点が低い |
などが挙げられます。これは薬物を経皮吸収させる際の条件なのですが、最近では化粧品にもかなり高度なDDS(ドクターデリバリーシステム)が使われるようになりました。
簡単に言うと、このDDS技術がなければ皮膚は通過させることが容易ではないという事なのです。
先ず、角層を通過するのに必要な分子量は500以下!!
では、皮膚再生に必要なEGFやFGFといった成長因子はどれくらいの分子量なのでしょうか。
EGF=8000
FGF=17000
です。
角層通過の条件500の何倍の大きさがあるのでしょうか?
EGF=16倍
FGF=34倍
です。
これはそのままでは角層の上に乗っかるだけになり、内在幹細胞には届きませんし、なんの働きもしません。
という事は、全く無意味という事になります。
ここで出てくるのが分子量を小さくする技術なのですが、ここにも落とし穴があります・・・・
それは次号でお伝えします。
参考のために良く化粧品等に配合されている成分の分子量も記載しておきます。
コラーゲン=100000・・・・・角層通過分子量の200倍
ヒアルロン酸=1000000・・・角層通過分子量の2,000倍
そのままでは入る訳がないのです・・・・
図にすると一目瞭然です。